磐田市の豊岡梅園という所で、友人の木下琢朗さんが作品展示を行なっているというので、母とばあちゃんを連れて花見がてら見に行ってきました。
約4万坪という広大な敷地に2千本の梅が植えられているそうです。梅酒を作る目的で、昭和42年に植樹されました。
観賞用の梅と違い、収穫に適した木の形に仕立てられています。カモメが飛んでいるときのようなかたちで湾曲している枝は、幹の太さと変わらない太さで横に広がっていて、年月を感じさせます。
広く見渡せる丘に登ると、まるで日本昔ばなしの世界にいるような感覚になりました。
そんな梅園に友人の作品は点在していました。
これらの作品のタイトルは「刀耕火種」。
刀耕火種とは、山の木を伐採し、火を放って焼き、そのあとに種をまいて作物を作っていくという、焼き畑農法の異名です。
実際、山で伐採された木を彫っています。
山で伐採された木は、作家の手によって、種の形に姿を変えます。
この種は、チェーンソーを使って縦に切り込みが入れられ、内部には火が放たれて燃えた跡があり、黒くすすけています。
まさに「刀耕火種」そのもの。この作品ひとつの中に刀耕火種の営みが表現されているのです。
おもしろいのは、火加減を調整しながらゆっくり燃やすと、種が開いたような形になること。開いた種は次の未来を想像させ、自然のダイナミックなうねりの中に佇んでいるような気持ちになります。
彼の作品は、室内でしか見た事ありませんでしたが、自然の中に置かれてこそ本領を発揮すると思いました。自然の生き死にを、否応なしに考えさせられました。
ウチの裏山改造したら、作品展示してもらいたいなぁ!